本格的にイロガミサマの調査をはじめた私は手始めに手紙をもらった読者のところを訪問することにした。父のノートに書かれたカミサマと同じようなイラストを書いてくれた読者のところに向った。 そこは長野県の中部に位置する安曇野という町だった。北アルプスの山々から吹き下ろす涼しい風が私を出迎えてくれる。私は最寄り駅から歩く私は道の横を流れる小さな川が気になった。透明度の高い清流だった。 それから私はイロガミサマを見たという読者のところに行って詳しい話を聞く日々を送った。しかし、なんとももどかしい存在で、つい最近まで出て来たと言われるのだが、ちょうど読者のところに行くと数日前から姿が見えなくなるという。なんともイロガミサマたちの後ろを追い続け、後ろ姿が見えそうになる瞬間に消えてしまう感じであった。 はっきりとわかったことはふたつ。ひとつは色に困っている人のところに現れて、色に関するアドバイスをして、しばらくするとどこかに消えてしまうということ。そう「ドラえもん」のような存在なのだが、この「ドラえもん」はずっとのびた君のところにはいないのだ。もうひとつはどうやら、色によって違う複数の神様がいて、その形状が大きく異なっているということである。確認できたのは赤、青、黄色の3種のカミサマである。このカミサマたちは色によって性格も違うようだ。 私は面白くなって色々と足取りを追ったのだが、ずっと掴めない日々が続いた。私は諦めかけていて、たどり着けないかなと感じていたときに、思わぬチャンスが現れた。イロガミサマを探し始めて約1年、福島の会津若松に行ったとき、ふいにある神社を訪れた。そこにある巨大な赤ベコの造作物を見ていたとき、ふいにどこからともなく声が聞こえたのだ。 「おい」 私は声がした方を見たが誰もいない。おかしいと思って探してみても姿はなかった。 「ここだ、ここだ」 もう一度、声をした方を見ると、巨大な赤ベコの上に不思議なものが出っ張っていた。三角形の赤い頭に、小さな目と口がある。目の下には青いラインが横に伸びている。私は驚いて一瞬頭が真っ白になり、次の瞬間「いたー」と心の中で叫んだ。 それが私とイロガミサマ、いやイロガミサマの中のアカガミとの初めての出会いであった。
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