ゲーム色々な種類に分類されていますがその分類方法も標準化されていないで本によって表記や内容がまとまっていなかったりします。それがゲーム理論をよりややこしくしています。ここではゲームの進行方法とプレイヤーの協力関係についてまとめてみます。

 ゲームは戦略を出すタイミングが重要です。相手と同時に戦略を出すのか、それとも相手の手を見てから戦略を出せるのか状況は大きくかわります。ゲーム理論ではこのふたつの戦略行動の進行について分類して考えます。

【進行による分類】

○同時手番ゲーム

 相手と同時に行動を取るゲームです。同時ゲーム、同時進行ゲームと言われることもあります。発売のタイミングが一緒である新聞や週刊誌、同時期に発売になるレストランの新メニュー戦略などは同時手番のゲームです。簡単な例だとじゃんけんは同時ゲームです。もしじゃんけんで、相手の手を見てから手を変えることをすると「後だし」と言われ、未来永劫「卑怯もの」というレッテルを貼られかねません。ゲームは戦略を出すタイミングがとても重要なのです。同時手番ゲームは相手の戦略、行動がわからないまま自分の戦略を選択しなくてはなりません。ゲーム理論で有名な「チキン・ゲーム」「囚人のジレンマ」等のゲームは同時手番ゲームに分類されます。

○逐次手番ゲーム

 もうひとつはプレイヤーが順番に行動を取ることができるゲームです。交互ゲーム、交互進行ゲームと言われることもあります。相手の入札価格を聞いてから、自分の価格が設定できるオークションは逐次手番ゲームです。ドラッグストアや家電量販店の価格競争などもそうです。他店の販売価格を調査して、「地域最安値」とPOPを作り、自店の販売価格を決めています。身近なものでは将棋や麻雀、ポーカーなども相手の手によって自分の戦略を変化させるので逐次手番ゲームです。相手と順番でおこなうことが重要なのではなく、相手の戦略を見てから自分の戦略を考え、変化させることができるのがポイントです。

【プレイヤーの関係による分類】

 ゲーム理論ではプレイヤー同士が協力、提携する協力ゲームとしない非協力ゲームがあります。ゲーム理論では非協力ゲームを中心に解説されていて、ここでも非協力ゲームを多く取り上げています。

○非協力ゲーム

 プレイヤー同士の協力、提携の要素がないとされるゲームです。それぞれのプレイヤーは相手と協力することなく、自らの最大の利得を追求します。販売戦略や視聴率競争など、経済活動においては重要な考え方です。相手の戦略を予測しながら自分の戦略を決める麻雀や将棋のようなゲームも非協力ゲームになります。

 また、ゲーム理論には協調ゲームというものがあります。協調ゲームの身近な例はエスカレーターの様子です。関東では右側を、関西では左側を空けて立ちます。しかしこれは、「こちら側を空けることでお互いのメリットが高くなるのでそうしよう」と話し合われた結果ではありません。郷に入っては郷に従えというように、現場の暗黙のルールに従っているだけです。このルールには従わなければ罰せられるような拘束力はありませんが、多くの人はお互いの利益を高めあうために協調するのです。

 ややこしいのですが、協調ゲームは非協力ゲームの一つと言えます。

○協力ゲーム

 複数のプレイヤーによる交渉、提携が可能であるとされるゲームです。交渉、提携で得た合意、ルールには拘束力があり、プレイヤーはそのルールに従って戦略を決定します。複数のプレイヤーによる利益配分を行うゲームなどは協力ゲームになります。非協力ゲームと比較するとより複雑で政治的な側面も多く、最近ようやく発展、多用されるようになってきました。