正しい大人になるために知っておきたい理論があります。それはゲーム理論と呼ばれ、経済学の分野で幅広く応用されているものです。「ゲーム理論」と聞くと、ゲームを動かしている仕組みか、モンハンなどのゲームの必勝法と思われるかもしれませんが、ちょっと違います。ゲーム理論は何かと言うと「相互依存性の状況下での合理的意思決定や合理的配分方法について考えるための数学理論」などという言葉で説明されています。もう、何言ってるのか全然分かりません。

 簡単に言ってしまえば「利害対立をもつ相手がいる場合、競争相手の行動を考え、自分の最適な行動を合理的に決めるもの」と言えるでしょう。

 自分がもっとも得する戦略を考えるのには、自分のことだけ考えてもダメなのです。自分と同じように「得をしたい」と考える相手がいて、相手が何を考えて、どう行動してくるかを考えた上で、自分が1番得する最適な方法を決める必要があります。ゲーム理論はそうした戦略を分析して決定するのに役立つ理論です。

 ゲーム理論は経済の分野で成熟してきたこともあり、商品の価格設定など企業間の戦略などに使われてきました。ところが最近では経済だけでなく、企業の組織編成、物流の最適化、従業員との労働条件交渉など経営の分野、さらには生物学から政治の世界、軍事戦略などでも応用されています。TPPなどはまさに国と国をプレイヤーにしたゲーム理論による交渉が進められています。私たちの社会は個人や企業などが一定のルールを守りながら、それぞれの目的を達成すべく競い合う(ときには協力し合う)ゲームのようなものです。プレイヤーの意思決定や行動を研究する心理学とは少し異なったアプローチで展開していきます(答えは同じところにたとせりつくことが多いのが面白いですが)。

 ここではそんなゲーム理論のさわりをさらりと紹介し、ゲーム理論を通して大人の世界を垣間見てみることにしましょう。