「デザインを科学する」 (SBクリエイティブ/定価1,028円(税込)) |
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世の中には様々な製品がある。洋服、広告、家具、車、靴、鞄。これらの製品には必ずデザイナーがいて、意図を持ってデザインされています。私たちは特にデザインされていることを意識しなくても、美しいデザインに触れると感動し、その製品に魅力を感じます。 でも、デザインはどうして私たちの心を動かすのでしょう? それは製品の美しい形状かもしれません。柄にプリントされたキャラクターの魅力かもしれません。また、刺激的なカラーの配色かもしれません。人がデザインから受ける影響は、個人差が多く一概には言えないのです。それは見た人の直感的な感覚で、経験などにも大きく左右されるために、理論的に構築することは困難であり、形態評価のメカニズムはほとんど解明されていないのが現状なのです。 しかし良質なデザインは「何となく」生まれるのではありません。そこには人が心地よいと感じる一定のルールのようなものが存在し、デザイナーはそれを長年の経験から体得しています。 本書は人が感じる一定の評価基準にスポットを当て、人はデザインをどう捉えて解釈し、どう評価するのか、デザインの何に魅力を感じるのかを紐解いていきたいと考えています。たとえば、よく女性が使う「かわいい」という言葉。「かわいい」と言われる評価の基準を探し出し、何にたいして人は「かわいい」と評価するのかなどを解明していきたいと考えています。 デザインの評価は「センス」という名の下に、あまり明確な理論なくして語られてきました。多くのデザイナーは多くの経験から感覚的に心地よい組み合わせを学びます。実績のある先輩デザイナーが作るものが「センスの良いもの」とされる傾向があります。でも、それは本当だろうか? 明確に否定する術をしらないと、新人デザイナーは翻弄されるだけです。人にノンハウがついているだけでは、次の世代につながらない。私はそのことをとても危惧しています。デザインは世代が変わるごとに進化を続けなくてはいけない。いや続けてほしいと思っています。 この本を執筆するにあたって、科学的なアプローチとして色彩心理学、認知心理学、イメージ心理学、脳内生理学など複数の学問を横断的に利用しています。デザイナーの経験からくるルールなどは参考にしているが、根拠のない(説明を立証・提示できない)ものは、できるかぎり排除して解説しています。もしかしたら、このアプローチの仕方には批判もあるかもしれなません。また専門的な知識がなくても理解していただけるように、できるだけ要約して噛み砕いて解説していています。批判を承知の上で、横断的に色々なジャンルの分析手法を用いて、多くの人が理解できるようにまとめてみたつもりです。まだまだ浅い部分もありますが、ご覧になっていただいて、感想を聞かせていただけるとありがたいです。 |
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序章 デザインとは? |
第3章 イメージの根拠を探る |
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